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ファイティングスピリッツ

芸能界歴十年以上の元音楽プロデューサーが日々の真実を独特の視点で斜めに斬るブログ。


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食糧の1/3が失われている


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アメリカで食べられることのないまま失われる食糧を生産するには、2010年4月に発生した石油掘削基地ディープウォーター・ホライズンの爆発事故で流出した量の70倍の原油が必要だという。全世界で見ると、ヨーロッパ最長の川であるボルガ川の年間流量に相当する量の原油が必要になる。

農地から食料品店を経て食卓に上るまでの過程で食糧の30%が失われている。改善の余地はあるはずだ。

(中略)

 国連食糧農業機関(FAO)では、世界中で栽培・消費される農産物の記録をとっている。FAOの推計によると、農場から加工工場、市場、小売店、食品サービス業者、そして家庭の台所へとつながる食糧連鎖のいずれかの段階で、人が食べるために生産された世界中の食糧の3分の1が毎年失われるか、廃棄されるかしているという。

 その量、実に12億7000万トン。30億人を飢えから救うのに十分な量だ。アメリカでは事態はさらに深刻で、年間30%以上の食糧、金額に換算すると1620億ドル分が食べられることなく失われている。

◆食糧廃棄の背景

 先進国では、超効率的な農業、充実した冷蔵設備、さらには輸送、保管、通信の最先端の技術によって、栽培される農作物のほとんどが小売り段階にまで到達する(にもかかわらず、サンストリートごみ処理場には廃棄食品がうず高く積まれていた)。しかし、ここから事態は急激に悪化する。FAOによると、先進工業国の食糧廃棄量は年間約6億8000万トン。サハラ以南アフリカの食糧生産量とほぼ同じ値だ。

◆資源の浪費

 どの時点で廃棄が行われようと、人々を飢えから救う機会が失われることに変わりはない。家庭での廃棄は大きな損失となっている。アメリカの4人家族の家庭では、年間平均1484ドル分の食べられる食品が捨てられている。食糧の浪費は、それらを生産するのに必要な大量の燃料、農薬、水、土地、労働力を浪費することでもある。「American Wasteland(アメリカの不毛地帯)」の著者ジョナサン・ブルーム(Jonathan Bloom)氏によると、アメリカで食べられることのないまま失われる食糧を生産するには、2010年4月に発生した石油掘削基地ディープウォーター・ホライズンの爆発事故で流出した量の70倍の原油が必要だという。全世界で見ると、ヨーロッパ最長の川であるボルガ川の年間流量に相当する量の原油が必要になる。

 2007年には、カナダの国土を大きく上回る1400万平方キロもの土地が、誰も食べることのない食糧を得るための耕作と放牧に利用された。さらに悪いことに、風通しの悪いごみ捨て場に埋められた食糧は二酸化炭素よりもはるかに強力な温室効果ガスであるメタンガスの発生源となっている。

◆食糧連鎖の見直し

 世界の食糧廃棄量は衝撃的なまでの多さだが、せめてもの救いは改善の余地が多分にあることだろう。例えば発展途上国では、支援団体が小規模農家に貯蔵容器と多重の穀物袋、野菜と果物を乾燥・保存するための道具、冷蔵と梱包のためのローテク機器などを提供しており、アフガニスタンではトマトの損失率が50%から5%に縮小した。

 アメリカでは、メディア、政府機関、環境団体による食糧廃棄の監視活動に後押しされ、廃棄する食品の記録を始める飲食店が増えてきている。損失を抑え込むための重要な一歩だ。

 天然資源保護協議会(NRDC)は、アメリカ政府に対して“販売期限”、“賞味期限”、“消費期限”の表示の統一を要請している。実施されれば、冷蔵庫の無駄をなくすことにつながるだろう。また学者や研究者たちは、家政学の授業を復活させるよう学校に働きかけている。形の悪い作物を受け入れること、食料品を正しく保存すること、余った食物を貯蔵しておくこと、飲食店で量を減らしてもらうこと、残り物を食べること、食べ切れない食糧を分け合うこと(アプリケーションやソーシャル・メディア・サイトが役立つ場合が多い)、生ごみを堆肥にすることなどを幼い消費者に学んでもらえるというわけだ。

 食糧廃棄の削減が国家的優先課題となっているイギリスでは、草の根団体「Feeding the 5000(5000人に食べ物を)」が、スーパーマーケットや料理人に売ることのできなかった質の高い農産物を農家や梱包業者から引き取り、それらを調理して、5000人に無料で配給するという活動を行っている。

◆豊かな食卓

 余った食べ物を動物に与えることは、経済的にも環境的にも理にかなっている。しかし、余剰食糧の最も理想的な利用法は、言うまでもなく、世界中に8億500万人いるとされる飢餓に苦しむ人々に食べてもらうことだ。アメリカでは、4900万人が食べ物に困っていると報告されている。つまり、次の食事のあてのない人がそれだけ存在するということだ。 これらのニーズに対応するために、慈善団体のフィーディング・アメリカ(Feeding America)では、2014年に約180万トンの食糧を分配する計画を立てている。同団体では、これらの食糧のほとんどをメーカー、スーパーマーケット、大規模農家、連邦政府などからの寄付でまかなう予定だ。

 食糧廃棄と食料損失を減らすための第一歩は、人々に問題に気づいてもらうことだ。多くの人が現実を受け入れようとしない。だが、食品価格の上昇に伴い、さらには気候変動によって食糧生産が減少するであろうこと、すでに耕作地となっている土地からこれまで以上に多くの食糧を継続的に得ることが避けられないことについての認識が高まるにつれ、少しずつではあるが意識は変わりつつあるようだ。

 

 

 

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