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ファイティングスピリッツ

芸能界歴十年以上の元音楽プロデューサーが日々の真実を独特の視点で斜めに斬るブログ。


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非常食を探る 葛(くず)の効用


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風邪の季節になりました。

よく「風邪のひき始めには、葛根湯(かっこんとう)」と言われますが、この葛根湯は実は商品名でなく、名前のとおり葛(くず)の根などの生薬を組み合わせた漢方薬のひとつです。また、食べ物としても葛湯(くずゆ)などでたまに見聞きはするものの、現代人にとってはなじみの薄い植物になっています。

しかし、調べてみると単に薬や和菓子のみならず、救荒食糧といった形で、高い効用を発揮する植物であることがわかりました。

■「根餅」という救荒食

かつて青森県では、[根餅]という、葛根を乾燥させて石臼でひき、小麦粉を混ぜて団子にし、蒸すか、茹でて砂糖か醤油につけて食べる方法が残っていたようです。寒冷地である青森地方はしばしば飢饉にみまわれており、このような時代、根餅は一種の救荒食として利用されていたと考えられます。

 「クズ」の根をつぶし、水を張った桶の中で澱粉をもみだして沈殿させ、水を入れ替えながらアクを取り除く技術(水晒し法)があみだされた後、水晒しすればそのままでは食べられなかったものや、たとえ有害物質を含む根茎類であっても、食べられることがわかり、人々は飢饉から逃れられるようになったと考えられます。

また、このような植物は栽培化が試みられるようになり、農耕の着想が生まれた可能性があります。

くずの効用はこれだけではありません。

■全草が使える

葛は、全草が栄養と有効成分に富んでいます。

 花は、肝臓を強化し、アルコールの分解能力を高めます。慢性の頭痛にも、効果があります。採取した花は、陰干しにします。これを3~5g、水300ccに入れて加熱し、沸騰したら火を消し、冷めたら飲みます。酒を飲む前に飲んでおくと、悪酔いや二日酔いを防ぐことができます。頭痛には、粉末にして、1日、1~2gを水で飲みます。

 葉は、止血・解毒に効果があります。小腸の粘膜に停滞している重金属など有害物質の排出にも有効です。生葉を絞った汁を切傷に付けると、短時間で止血します。蜂やくもなど毒虫に刺された時は、絞り汁を30~50㏄飲み、傷口にも付けると解毒できます。貧血、糖尿病、胃腸粘膜の炎症や腸内異常発酵には、1日30~50㏄飲みます。若葉は、お浸しにしてもおいしく食べられます。花や葉は、いろいろな料理に使うといいでしょう。

 つるは入浴剤としても、効果的です。太いつる500g~1kgを、浴槽に入れて入浴します。神経痛、関節炎、筋肉の疲労・こり・痛み、血行不良、冷え性、皮膚炎などに有効です。

 根は、食中毒、虫垂炎(盲腸)、飲み過ぎによる吐血などに効果があります。生の根の絞り汁30~60㏄を飲みます。赤ちゃんのあせも、おむつかぶれ、皮膚炎等には、葛粉を微粉末にして皮膚に直接塗ります。

 葛の葉は、春の若葉を採取します。葛(かっ)花(か)は、7~9月頃採取します。葛(かっ)根(こん)は、冬季11~3月に掘ります。冬季は、葉が枯れて根に栄養が蓄えられます。春・夏は、栄養分が根から葉や花に移行して、根には細かい空洞ができます。採取時期によって、効果に大きな差が出ます。根は、サイコロ状か板状に切って天火に干し、よく乾燥させます。これを密閉容器に入れて、保存します。

■ほかの「でんぷん」と一緒にできない

もちろん、「片栗粉」同様にでんぷんとして様々な食材に使えますが、上記のように他のでんぷん製造植物に比べて非常に高い効用を持つ植物のようです。

こんな素晴らしい植物である葛(粉)ですが、日本をはじめ、中国などアジア各国からアメリカ大陸にまで広範囲に分布しているにも関わらず、特に食用について言えばより生産効率が高いじゃがいもでんぷんなどに“代用”されてしまい、われわれはその恩恵に与れていないのが現状です。

常時・非常時を問わず、今後もっと注目されていい植物の一つです。

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